秋の風とともに

 夏の間、クレマチスはまるで枯れているかのようにじっとしていた。
茎は茶色くなり、葉っぱも茶色っぽくなりカサカサしている。
もちろん新芽はのびないし花も咲かない。
私も自分の命の方が大切なので、あの暑さの中、水やりだけはなんとか続けたけれど、基本的にほったらかしにしておいた。『枯れたかもしれないけどまあいいや。』
 しかし涼しい風が吹きはじめると、なんと言う事でしょう。茶色い茎の乾いた節からみずみずしいライトグリーンの新芽を次々と吹きはじめたではありませんか。
 クレマチスってやつは、茶色い硬くなった自分の茎を手ががリにして、初秋の日光を求めてぐんぐん伸びている。なんだか笑いたくなってくる。
 薔薇も秋に向けて蕾をつけているし、冬が来る前にもう一回幕を開ける準備をするとしましょうか。